寺坂真貴子です

弁理士です。

内閣府クールジャパン戦略へのパブリックコメントに提出遅れました

土曜日締め切りなら23時59分だと思って油断していたら17時でした。
そうですよね……。
芦原妃名子さんの事件に暗澹としていたとか、
他にやることもたくさんありまして(インボイス対応確定申告に暗澹とするとか)忙しい時期でしてとか
というのは他の人も全くおなじですから言い訳にならないですね。
本当にいい機会をもらったのにふいにして日本の将来を担うひとびとに申し訳ありません。
ぎりぎりまで整文しようとしたけれど内容もいまひとつです。
でもやはり惜しいので以下に私見をなげておきます。
乱暴な論旨、誤字脱字などご容赦いただければとおもいます。

《要旨》

自覚のない個人事業者である著者・実演家を社会にうまく組み込む
1.マイナンバー登録SNSインボイス登録免除(代替案:プロダクション契約締結時の重要事項説明の義務化)
2.著作人格権の強化、固有データ公開権の新規創設(含:肖像権、広義プライバシー権)および重要コンテンツへの遡及適用
3.2の公開権創設および表現規制法を前提とした、わいせつ罪の改正、ならびにコンテンツ棲み分けの緩和と強化

総論 
クールジャパンの遂行においては、自覚のない個人事業者たる創作者・実演家を社会にうまく組み込む方法が求められているが、世界の最先端をいくクールな日本でも金がからんだりで失敗しがちである。

意見1
インボイスの失敗以前から、創作者の間では物々交換・電子マネー・イイネを得がたい報酬として認める機運がある(内田樹「贈与経済」・岡田斗司夫評価経済社会」など参照)
しかし税金・年金だけは現金でおさめなければならない。このため個人事業者は無理をしてでも金銭への変換をしなければならない。
クールジャパンを推進するためにはこの際に搾取がおこらない方法を模索すべきである。
報酬の得られるSNSマイナンバーカード登録によるインボイス登録免除を行うなど。

意見1.5 創作物利用契約締結時の重要事項説明の義務化
 今年一月末に漫画家芦原妃名子さんが、ドラマ化にあたり作品改変をされ、テレビ局を通じ脚本家へ抗議をしたものの納得いく説明がうけられず自身が巻き取ることとなりドラマ作品も満足にしあげられず自殺をする事件があった。この事件を受けて日本の創作者の多くが多大なショックを受けている。
 一部の創作者は、出版契約・映像化の不平等契約が以前から存在したと主張している(雷句誠佐藤秀峰などの漫画家が該当出版社と訴訟寸前のもめ事にいたったし、無料公開されている売れっ子漫画家×うつ病漫画家「https://www.pixiv.net/user/67836452/series/114674」も出版契約しようとした個人創作者の出会った社会の暗部をえぐりだし380万人に閲覧され15万イイネをもらう人気作品となっている)
この騒ぎでテレビ局や出版社の株価がストップ安となった。日本のコンテンツのおかれた状況は株価を通じて海外にも直接に影響を及ぼし、あるいは及ぼされている。まさにクールジャパンの定着を悪い面から知ることになった。
 しかし出版社・テレビ局は現在のところ感情論に終始しており、第三者調査委員会をたてることもしていない。「当人の問題であるし、その当事者はすでに死亡した」という理由で改善策を立てないまま、なんとかうやむやにしようとしている。
 実際、著作権侵害訴訟は民事であるから裁判になっても和解が強く進められ、出版社に改善指導が入ることはない。
 SNSでは創作者にとって、描こうとした深いテーマをメディア化の際に浅く改変されることは魂の殺人にも当たるのだという血を吐くような訴えも見られた。
 出版契約(=版権、複製権契約)を文書で交付することを義務づけ、「著作人格権の委譲」の項目を含む著作権契約を違法化すべきである。
 さらに、世間では事件の再来を防ぐため出版エージェントを育成し、あるいはAI化して配布すべきとの声もある。https://www.cinra.net/article/202401-sexytanakasan_iktayしかしこの場合、出版エージェントは経理・税制、請求書作成、差し止め訴訟、経営、著作権、メディア倫理、海外の表現規制などに精通しつつ、不安定な創作者のためのカウンセリング者も出来なければならない。
 これは普通に考えて一人でこなせる業務量ではないから出版社などの編集担当者がチームで代行しているケースが多かった(スタジオをかかえる大手は除く)。その編集担当者によるフォローができなかったのが今回である。
 したがって、宅建取扱主任のように契約時の重要事項説明の義務化などをおこなう。個人事業からチームで補えるならそれにこしたことはない。
意見2 著作人格権の強化、固有データ公開権の新規創設(含:肖像権、広義プライバシー権)および重要コンテンツへの遡及適用
 創作は本人の個性を直接に表すものであり広義のプライバシーでもある。SNSに無料で閲覧できる形で絵を投稿していても作者と切り離し意図しない形で再利用されることは全く想定も許諾もしていない。そのためAIの使用でロンダリングしつつ本人の創作物の個性を真似られることを不利益を被っていると感じている声が非常に多いし、そもそも学習素材を許可したおぼえがないのに30条の4ができて生成AIができていたという声も多い。また現在はより状況が悪化しており、AIにおいて名前をいれていないのに特徴をいれただけで学習元画像がほぼ同じ(鼻の影の位置だけが違う程度)画像として出てしまうケースも多く出ているし、i2iにおけるLoRAの技術がすすみ10枚程度の素材があれば画風を盗んで真似たい絵柄の絵をAI生成させることができるようになっている。
これほどのAIの急速な進化はだれも予測できなかった。
さらに画像生成AIの根本にあるデータセットに収集された58億枚といわれる画像の中には公開が違法となるコンテンツ(実在児童のポルノ写真)など表現規制の対象、いわゆる違法な画像が含まれていることも明らかになった。(これに関して児童ポルノをダウンロードして保管することは、児童ポルノ禁止法7条3項に該当するから、児童ポルノ画像を学習済み素材として含み、かつ出力できるデータセットは違法であるということもできる。さらにわいせつ罪裁判での最高裁は、(新しい)刑法175条の「頒布」の意味を、ネットを通じて不特定多数の者のパソコンにわいせつ情報を記録させることだと解釈した(出典:園田寿 https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/813c91adcf61951e0ef53940f5ff9820383158cf 「わいせつ動画、米国サーバでもアウト! その理由は?」)という経緯があるため、日本から実在ポルノ画像をアップロードした場合はこれも違法行為であると考えられる。)
しかし、ではポルノなど表現規制の学習素材を使用せず、著作者が学習利用を意図していない著作権侵害コンテンツから学習ずみのAIはどうだろうか。著作者に不利益を与えるものとして削除させようにも、今更、過去に遡って不利益の証拠を出すことは現実的には難しく、裁判をして確実にデータ削除をさせ勝てるみこみもうすい。したがってただでさえ短い現役期間を勉強や創作についやそうと時間に追われる創作者にとっては実質的に泣き寝入りを強いられているといえる。
 このケースからみても現状の「だれかが不利益を被ってから対応する」後追い的法改正では適法な創作や表現を支える限界が来ていると言わざるを得ない。生成AIの弊害(金銭的損害だけではなく名誉感情や相場崩壊なども含め)は創作者には自明だが今からでは防止手段が考えられない。
 もちろん日本でデータセットの制作そのものを違法化し、過去公表作の著作権侵害まで認定して遡及して廃棄し、新しく自作素材だけ学習したAIを作成せよと命じることもできなくはない。しかしすでにオフライン利用できる学習データセットが存在する(iphone向けアプリdraw-thingなど)のだから、この形で、各地に学習済みデータセットというコアになるデータがばらまかれてしまっていることは明らかだ。戦争のように莫大な技術力をもって迅速に対応しないと手遅れである。
 少しでも手遅れになれば、現行のデータセットは貴重で価値が高いことは知られているから、どこかまた別の外国からどこからともなく複製データと生成物が流出してくる。
 結論として、AIは7000人のデジタル絵画創作者たちの知らない間に生まれた鬼子だが、いったん生まれてしまった以上一つの国の一つの法律だけでは殺しきれない。よって児童ポルノなどの規制と同様に、出口規制としての原著作者による拡張された公表権が必要というふうに私は考えている。
 これにより自分に深いかかわりのあるデータすべてをだれもが適切にコントロールして意図した範囲のみに公開するようになれば、芦原妃名子さんも脚本家のかきこみを直接目にすることはなかったし、不幸な自死も起こらなかったのかもしれない。

 3.公開権創設および表現規制法を前提とした、わいせつ罪の改正、ならびにリテラシーのみにたよらない棲み分けの強化
 日本のわいせつ物・R18基準と外国のそれが大きくずれている。昨日ユーザー数が400万人を突破したSNSブルースカイでは日本語でこのような警告を守ることとされている。
・コンテンツの警告なし(無害なコンテンツ)
・「提案」(成人向け)
・「ヌード」(エロくないが裸。裸体の彫刻など)
・「ポルノ」(エロい)
さらに一般に米国の表現区分は
・制限なし
・Sensitive(「見たくない人がいる」。政治、宗教、戦争、論争)
・NSFW(「職場で見るのに適しない」、ドッキリ・いたずら・水着・パンチラ・バニースーツ)
・Mature(「成人向」。下着すがた、薬物、出血、虐待、ヘアヌード、トップレス)
・Explicit(「露骨」。殺人、汚物、ゴア、体液、局部露出、前戯およびセックス)
となっていて、explicitなものでも見たい人は見て見たくない人はブロックすればよいとなっている。そこには「性的」とお上が決めた表現を一律に排除する法律もなければ、わいせつ罪のがれのために陰毛や乳輪を描かないことによる幼形表現化のジェンダーゆがみもない。
 
「善良な性的秩序・性道徳を維持するという意味でのわいせつ規制はもはや維持できるものではなく、わいせつなものを無理やり見せられないという個人の権利を保護するとか、あるいは青少年保護といった観点から、規制を根本的に考え直すべきではないかと思っています。(同上)」

自分もそのように考える。
★★★★★★★★★

さて、実は2023年末にあった文化庁むけのパブコメの最後に付録でこんなことをかいておりました。

表現規制について 
現在、シンガポールのフィギュア販売サイトが許諾をとらずに日本アニメキャラフィギュアを販売している(おそらく個人フィギュアメーカーの販売仲介サイト)。https://www.gkcollectors.com/ (成人向けなので閲覧注意)
私はこのサイトをみて衝撃を受けた。出来がよく魅力的だが日本では売れない。
掲載されているフィギュアは多数あり予約制で高額である。いずれも許諾マークがないから未許諾と推測できる。シンガポールベルヌ条約の加盟国 であるため、日本を含む加盟国の著作物の著作権シンガポールでも保護されるはずなのだが、日本コンテンツホルダーの機会損失である。
さらにフィギュアには著作者の許諾を最初から取る気がないために乳房や股間の露出や暴力表現を含むものも含まれる(しかもサイト全体が高額な成人向け物品の販売サイトであるからゾーニングせずに並べられている)。これらはポルノ彫刻でありまた商品名が商標侵害であり知的財産権侵害の塊なので日本人が仮に購入しても、日本税関で没収される。日本人は許諾や購入や出品ができないためいっさいこのサイトのコンテンツにかかわることができない。海外から海外へと派生コンテンツ収益がすべて流れていく状態になっている。
この事態を見るに日本の厳しすぎる表現規制、特にわいせつ物関連罪は日本のコンテンツ産業の足をおおきくひっぱっている。
もちろん入手した性的コンテンツを衆目の前に放置し加害的公表することはよくないが、マイナンバーカードやクレジットカードを用いた年齢・国籍の確認をして成人がゾーニングしながら購入し個人で楽しむ分には「わいせつ」「ひわい」というほどのものでもないのではないだろうか。そもそもわいせつの「せつ」はハレに対するケであり個人的、公にするべきではないという程度の意味である。
また一方で、日本国内には個人表現者に対する表現規制がつよい。特に個人コンテンツ売買サイトにおいて昨年からカード会社による児童ポルノ・虐待・暴力に関する表現規制が始まっている(例外はDMM)。クレジットカードで米国AV(モザイクがない)を購入決済可能なのに、日本国内で虐待・拷問の内容が含まれる挑発的なアマチュア小説作品へ支援的購入しようとしても決済させてもらえないのである。
日本人の成人向け創作者はわいせつ罪や表現規制に幾重にもしばられ、また自分の表現が「下手」でだれかにとっての地雷にちがいないという「常識」にも苦しめられている。
したがって、日本人もアメリカと同程度に成人向け表現を自由化すべきである。「単なる性交(または性交類似行為)の表現物を身元確認ずみ成人向けゾーンで展示販売することはわいせつ罪にあたらないこと。すなわち成人の人体に当然存在する性器や乳房(乳輪や乳首)、陰毛・腋毛の表現が即座に違法とはいえないこと」ことと、「児童ポルノ法、リベンジポルノ法、ゾーニング破りや脅迫・強要・非セーフセックスを含む加害的公表は犯罪にあたる」をセットで導入してほしい。
少子高齢化社会で有料表現の受け取り手は総じて高齢化しているのに、50代の大人がジャンプを読んで乳輪や陰毛や腋毛すらない児童的表現(しかし乳房だけは乳首がないのに整形済みのように不自然に大きい)の女性キャラクターに性的シンボルを担わせる状況は非常に不自然である。
一方で成人向け動画投稿サイトの現状をしらべていたところ、アメリカの動画投稿サイトにうっかりいきあたった。タイトルとサムネイルからは50代60代の夫婦が自らのゴムなし性交を撮影して投稿していることが把握できた。動画再生はしないものの、バナー広告にもモザイクがない。こちらもいい年をした成人なのだから成人同志の赤裸々な夫婦の営みタイトルをみて過度にわいせつという印象を受けることはない。へえ仲が良いな、楽しそうだな、意外と清潔感がある、と思う程度である。個人的には特に、成人同志のおもいやりあるおだやかな性交などは少子化を解消する崇高な行為であるから特段「卑しい」「猥らな」ひわい表現ではないと考えている。
AVについてしらべたところアメリカでは局部モザイクがないが、暴力虐待表現、児童ポルノ、強要、商業ゴム無し動画のほうが強く規制されているのだそうだ。そのほうが、かえって女性や未成年の保護および性教育に配慮された表現である。
このように日本では表現規制が非常に複雑怪奇になっており個人表現者にとって理解不能であり不利である。
わいせつ罪の存在にはさらなる弊害もあり、日本では中高生への性教育も先進国の中では大幅に遅れている。女性や母性を保護するためのアフターピルや低用量ピル、生理用品や子宮がん検診・ワクチンに対する偏見も非常につよい。妊娠出産したい女性への大きなハンデとなっている。
この度、表現規制のねじれをただし、規制対象に加害的公表というわかりやすいものとし、ゆるめるべきものはゆるめ、加害的表現は新たに規制し、成人向けコンテンツのプラットフォームをアップデートして、成人の間で合法に成人向け表現が流通すべきようにすることで、女性差別の解消や少子化対策、クールジャパンでの成人向けの表現による収益などという複数の効果がみこめるのでぜひとも法改正をお願いする次第である。

これわりと過激派なことをいっているので女性からは反発があるかもしれませんが、ぜひ内閣府あてにお知らせしたかったんで本当に痛恨です。

INPITのe-learning教材がおもしろい

[INPIT]eラーニング教材の開発と閲覧サービス【IP ePlat】 | 独立行政法人 工業所有権情報・研修館 ←こちら。

とくにJ-PlatpatでRSS設定できるのを知れたのがおもしろかったです。
設定ジャンル内などで新規な公報がでたらRSSでフィードされるわけですね。
あと、5分くらいずつの動画があるのですが、商標出願人検索は姓名の間にスペースいらないのに特許実用の出願人検索は半角スペースが必要など。
やったことがある方向けに書くからこうやって2行で済みましたがやはり実際の動画はほしいですよね。
官公庁のe-learning動画なので広告も一切なし。
スライダも自由自在に前後にうごかせます。
 
弱点があるとすると、動画によっては非常に読みあげが眠い感じです……。
今流行の、ずんだもんの「だもん」語尾がくっついた解説動画がとても懐かしくなりました。

当事務所ではAIガイドラインをこのように定めます

1 本ガイドラインの目的

ガイドラインは、業務において【(例)ChatGPT】などの生成AIを利用する際に注意すべき事項を解説したものです。
生成AIは、業務効率の改善や新しいアイデア出しなどに役立つ反面、入力するデータの内容や生成物の利用方法によっては法令に違反したり、他者の権利を侵害したりする可能性があります。本ガイドラインをよく読んでいただき、生成AIを上手に利用してください。

2 本ガイドラインが対象とする生成AI

ガイドラインが対象とする生成AIは【OpenAI社が提供するChatGPT】および同AIを組み込んだMicrosoft社が提供するソフトウェア【例:Windows11、Office365、Bing chatなど】です。
それ以外の生成AIの利用を希望する場合には情報室にお問い合わせください。
これらの特徴は以下のとおりです。
①大規模言語モデルChatGPTは過去の膨大な蓄積データから、次の文章を予測するものです。質問・命令文(以下プロンプトという)で指定して適切な回答を得るしくみです。注意として、AIはプロンプトに対してその都度、人為的に「ゆらぎ」を加えた回答をするので、完全に同じ質問を繰り返しても同じ回答が繰り返されるとは限りません。
②現在のChatGPTはバージョン3.5、バージョン4、バージョン4vの三つが提供されています。
・ChatGPTサイト(https://openai.com/)で無料で利用可能なのは基本的にはバージョン3.5です。有料プランではバージョン4が利用できます。
・2023年9月からWindows11のEdgeのBingChat内のCopilot(単にBingAIとも称呼される)にてバージョン4が無料提供開始されました。
・似た名前ですがCopilot for Microsoft 365はChatGPTバージョン4+Microsoft Graph、利用に際してはOffice365で企業向け有料プランの購入が必要です。
ChatGPTのバージョンが違えば、別人といっていいほど回答(態度)が異なります。報道などで「適切なAI生成結果が得られた」と紹介されているプロンプトを、自身で再現しようとしても望んだ結果が得られない場合は、多くは利用バージョンの違いが主要な原因です。
③その他の文章生成AIもChatGPTを加工(見た目を変えて用途を限定)して提供しているものが多く、その場合の文章生成のクオリティは利用しているChatGPTのバージョンに依存します。

3 生成AIの利用が禁止される用途

業務では以下の用途・業務での生成AIの利用を禁止します。
【(1)事実のみの調査】Google検索、乗換検索など既存の正確なサイトがつかえる検索はそちらのサイトを利用してください。
【(2)法律違反、または一般社会常識で禁止される利用】

4 本ガイドラインの構成

生成AIは、いずれのサービスも基本的に「ユーザが何らかのデータを入力して何らかの処理(保管、解析、生成、学習、再提供等)が行われ、その結果(生成物)を得る」という構造です。
そのため、本ガイドラインは以下の2つのパートから構成されています。
▼ データ入力に際して注意すべき事項
▼ 生成物を利用するに際して注意すべき事項

5 データ入力に際して注意すべき事項

生成AIに入力(送信)するデータは多種多様なものが含まれますが、知的財産権の処理の必要性や法規制の遵守という観点からは、以下の類型のデータを入力する場合、特に注意が必要です。

(1) 第三者著作権を有しているデータ(他人が作成した文章等)
単に生成AIに他人の著作物を入力するだけの行為は原則として著作権侵害に該当しません。
もっとも、当該入力対象となった他人の著作物と同一・類似するAI生成物を生成する目的がある場合には、入力行為自体が著作権侵害になる可能性があります。
また、生成されたデータが入力したデータや既存のデータ(著作物)と同一・類似している場合は、当該生成物の利用が当該著作物の著作権侵害になる可能性もありますので注意してください。

(2) 登録商標・意匠(ロゴやデザイン)
商標や意匠として登録されているロゴ・デザイン等を生成AIに入力することは商標権侵害や意匠権侵害に該当しませんが、生成物を利用する場合には注意が必要です。

(3) 著名人の顔写真や氏名
著名人の顔写真や氏名を生成AIに入力する行為は、当該著名人が有しているパブリシティ権の侵害には該当しません。
ただし、生成AIを利用して生成物された著名人の氏名、肖像等については、それらの氏名や肖像等を商用利用する行為はパブリシティ権侵害に該当しますので注意してください。

(4) 個人情報
【ChatGPT】においては入力したデータが【OpenAI社】のモデルの学習に利用されることになっていますので、【ChatGPT】に個人情報(顧客氏名・住所等)を入力する場合、当該個人情報により特定される本人の同意を取得する必要があります。そのような同意取得は現実的ではありませんので、個人情報を入力しないでください。
【ただし、利用する生成AIによっては、特定の条件を満たせば個人情報の入力が適法になる可能性もあります。詳細は【情報室】にお問い合わせください。】

(5) 外部から秘密保持義務を課されて開示された秘密情報
外部事業者が提供する生成AIに、外部との間で秘密保持契約(NDA)などを締結して取得した秘密情報を入力する行為は、生成AI提供者という「第三者」に秘密情報を「開示」することになるため、NDAに反する可能性があります。
そのため、そのような秘密情報は入力しないでください。

(6) 自組織の機密情報
自組織内の機密情報を生成AIに入力する行為は何らかの法令に違反するということはありませんが、生成AIの処理内容や規約の内容によっては当該機密情報が漏れて法律上保護されなくなるリスクがありますので、入力しないでください。

6 生成物を利用するに際して注意すべき事項

(1)生成物の内容に虚偽が含まれている可能性がある
大規模言語モデル(LLM)の原理は、「ある単語の次に用いられる可能性が確率的に最も高い単語」を出力することで、もっともらしい文章を作成していくものです。書かれている内容には虚偽が含まれている可能性があります。
①特に理路整然とした文章の中にデタラメが入るためダマされる、ハルシネーション、幻覚と呼ばれる現象に注意が必要です。
②多くの生成AIは情報源を示しません。また2021年9月以降の情報をAIが関知していません。
•特殊な事例としてBing AI や Perplexity AI は最新情報を用いており情報源(論文の書誌情報やurl)も示してくれますが、タイトルなどが一部改変されている場合があります。
生成AIのこのような限界を知り、その生成物の内容を盲信せず、必ず根拠や裏付けを自ら確認するようにしてください。

(2)生成物を利用する行為が誰かの既存の権利を侵害する可能性がある
① 著作権侵害
生成AIを利用して出力された生成物が、既存の著作物と同一・類似している場合は、当該生成物を利用(複製や配信等)する行為が著作権侵害に該当する可能性があります。
そのため、以下の留意事項を遵守してください。
 特定の作者や作家の作品のみを学習させた特化型AIは利用しないでください。
 プロンプトに既存著作物、作家名、作品の名称を入力しないようにしてください。
 特に生成物を「利用」(配信・公開等)する場合には、生成物が既存著作物に類似しないかの調査や生成物の利用が権利制限規定(著作権法30条1項や同30条の3等)に該当するかの検討を行うようにしてください。

② 商標権・意匠権侵害
画像生成AIを利用して生成した画像や、文章生成AIを利用して生成したキャッチコピーなどを商品ロゴや広告宣伝などに使う行為は、他者が権利を持っている登録商標権や登録意匠権を侵害する可能性がありますので、生成物が既存著作物に類似しないかの調査に加えて、登録商標・登録意匠の調査を行うようにしてください。

③ 虚偽の個人情報・名誉毀損、差別・偏見等
【ChatGPT】などは、個人に関する虚偽の情報を生成する可能性があることが知られています。虚偽の個人情報を生成して利用・提供する行為は、個人情報保護法違反(法19条、20条違反)や、名誉毀損・信用毀損に該当する可能性がありますので、そのような行為は行わないでください。
また、数は少ないですが、差別・偏見を含む内容が出力されることがあるため、社会倫理部分を利用者自身で慎重に判断してください。

(3)生成物について著作権が発生しない可能性がある
仮に生成物に著作権が発生していないとすると、当該生成物は基本的に第三者に模倣され放題ということになりますので、自らの創作物として権利の保護を必要とする個人や組織にとっては大きな問題となります。
この論点については、生成AIを利用しての創作活動に人間の「創作的寄与」があるか否かによって結論が分かれますので、生成物をそのまま利用することは極力避け、できるだけ加筆・修正するようにしてください。

(4) 生成物を商用利用できない可能性がある
生成AIにより生成した生成物をビジネスで利用する場合、当該生成物を商用利用できるかが問題となります。
この論点は、利用する生成AIの利用規約により結論が左右されますが、【ChatGPTの場合、生成物の利用に制限がないことが利用規約に明記されているので、この点は問題になりません。】

(5)生成AIのポリシー上の制限に注意する
生成AIにおいては、これまで説明してきたリスク(主として法令上の制限)以外にも、サービスのポリシー上独自の制限を設けていることがあります。
【 ChatGPTを利用する場合、以下の点に注意してください。
Usage Policies(https://openai.com/policies/usage-policies)で、「Adult content, adult industries, and dating apps(アダルトコンテンツ、アダルト産業、出会い系アプリ)」「Engaging in the unauthorized practice of law, or offering tailored legal advice without a qualified person reviewing the information(許可なく法律実務を行うこと、または資格のある人が情報をレビューしないままに特定の法的助言を提供すること)」などの具体的禁止項目が定められています。
また、医療、金融、法律業界、ニュース生成、ニュース要約など、消費者向けにコンテンツを作成して提供する場合には、AIが使用されていることとその潜在的な限界を知らせる免責事項をユーザに提供する必要があることも同ポリシーには明記されています。
さらに、関連ポリシー上は、ChatGPTなどOpenAI社のサービスを利用して生成されたコンテンツを公開する際には、AIを利用した生成物であることを明示することなどが定められています。】

ゲーム業界の特許紛争に関連して。

news.yahoo.co.jp
 
安定の栗原潔さんの解説のほうをご覧ください
 
===========
以下は余談です。
私は以前から不思議なんですが、
電子ゲームのプログラム部分って
 
  

「人為的取り決め」(二条解説にいう発明の対象外)
 
 

なのではないでしょうか????? 

発明の効果が「人間プレイヤーの目からみておもしろい」というのは、技術上は従来ゲームとあまり差異がないのでは。
ただ、キャラクター同士の人間関係を電子的に再現できたので、電子ゲームであっても人間味を感じられておもしろい、という書き方なら、まあ、アリなのかもしれませんが。
 
従来から遊戯分野ではパチンコなども特許出願が多いそうで、やはり特許というお墨付きにより独占をあたえているわけです。 
 
特許法第二条の説明にある「人為的とりきめはアウト」は32条医療と同様にすこしずつはずしていくべきときが来ているとおもいます。
それでこそ、チェスのアレンジルール、ボードゲームのルール、知恵の輪、なんぞという今まで拒絶査定になっていたものも、そろそろ、あたらしいアイデアを道具などをもちいて具現化している(そしてそれが産業になる)と認めたのなら、特許をあたえていくべきでしょう。

米国特許法は発明の範囲をはっきりとは定義しておらず、拒絶理由や明細書の書き方、つまり審査にひっかかるのはどういうかというところだけで限定しております(これら審査に関する条文当然、他にあります)。ですので、ブランコの横揺らし方法という小学生の出願が特許査定されたことがありました(のちに異議をうけて取り消し)

特許庁も、そして著作権も日本では「定義するからこそ」おかしくなっているとおもいます。
ノーといえない日本人ですから、最初から「あれはダメ、これもアウト」と予防線をひきまくっていたのかもしれません。
 
逆にAI著作では、予防線がゆるすぎて、バンバン「実在者の写真著作をAI加工すれば無罪」とおもいこんだ人による侵害行為がやられていますが、30条にはいちおうゆるいながら「思想感情を享受できない形で」という予防線があるんです。
商標では、「ゆっくり茶番劇」で動画投稿サイトのタグを独占しようとした人が炎上トラブルになりました。


ここはもっと傲慢に「日本特許庁文化庁が、迅速、的確に範囲を決めます」というちょっとプロパテント的な政策が必要に感じます。

ドラマ五話
 ちょっと私生活に手が回らないでギリギリの視聴記録。

 社長の勝手に選んだ著作物の使用許諾交渉(ムズカシイに決まってますな)
 窪地氏の甘酒発明に拒絶きたので17条 ユーザーフレンドリー面接
 よくある「前任知財部が退職済み」
 古巣あいかわらずきれいです
 「むずかしい」っていいかた、あやしいな…… 
 ドラマ的にはオリゴ糖にからめて元彼にあいたかったんですかね?
 まあそうそうないですね……一応忌避ありますけど自分でいわないとわからないですし
 実験証明書提出にもうってつけの人材が兄で……
 ここ奥にドラフトあるんかなぁなつかしいな
 田所が先に窪地教授にもちこみ企画してないだろうかこれ……
 有田氏☎に出られない(まあそうですね)
 会議にいろいろいいたそうだけど手をはなさせられる北脇氏
 ゆみさん北脇に 
 
 調整にこだわってますね……
 まあふつう面接二度はないですしね
 あとは意見書補正書と審判でってなるから
 練習したところで……茶番ですね……
 ライセンスどうしても先にやるべきと思ってる北脇らしい
 「自分のほうが相手を見ているとおもえば」これはいいアドバイス
 ドラマらしいドラマでした
  
 あ、面と向かってお礼いわれたことはないですね在職中 もっと機械的にノルマ制で📃をさばいてました
 まあドラマなんですけどこういう描かれ方はちょっと不安になりますね
 
 なんかこう~田所さん産業スパイじゃんとしか あらら いいつっこみにかえしが 人脈でなりあがれたら苦労しないよね ここで反発できる窪地に命吹き込まれたな!
 似てるものとか先行写真とかで代替させたそうな北脇
 窪地と 
 クロスライセンスか!
 著作権と写真か~これ工業のほうに上限つけとかないと
 これ廊下が明治村にみえる
 特許庁の通い箱なつかしい
 「似た案件」芋づる あー慎重なやつね でもなんというかマクスウェルの悪魔はいないよ
 やっぱり産業スパイに近い案件じゃん フリーライド狙い
 イクヤ!がんばれ!ここは田所にいえたことを兄にも言おう!
 ドラマだから肉親の情だけど共同開発費でお金で誠意がみせられるんじゃないかな
 特許の分割?できますがな!! 37条もらうまでもなくどうぞ!
 いやそんな……飲むことあるかな……あとそのコップ 
 13階の面接室だなぁ~
 うわそのリアルだな審査官もわりとね……
 タカナシさんこうぇえ~ まあ田所と長年やってるからかな
 マタサカさん
 ああっ特許庁のみなさんがクレジットに 佐藤純也さんって審査長役??

次回は特許法30条かなあ! 前回の不正競争防止防止法予想はほぼはずれだったので今回も裏切られますように。いや伏線しっかり張ってるだけかも