寺坂真貴子です

弁理士です。

ひとりごと

こんなたとえ話を聞いたことがあります。(条文は特許のもの)

29条しかほとんどこない分野ばかり受け持ったので、39、36の対応の仕方がよくわからない弁理士さんがいました。

29と36の入っている拒絶理由を受けたので、まずは36から解決しようと、審査官に電話をかけて、「同分野の文献にも同じことが書いてある。どうしてうちの書き方がいけないのか。うちがやったのもあれと同じことだ、当業者ならわかる書き方だ。」と主張しました。

審査官は笑って「それを意見書にかけば、36条は解消しますが、29条がとても不利になってしまいますよ。」と言ったそうです。

教訓は、審査官の意図をしっかり読み取ろう!ということになりますね。審査官が36を指摘してくるのは、単に明細書がものすごく読みづらい文だったという場合もありますが、ベテラン審査官になるとそういう36ばかりではありません。「ここをしっかりかかないと、29で蹴りますよ」という29の道案内になるような36(誘導的?)が混じってきます。また、36の追記に(53/54条参照)などと書いてこられたら、これは待ちゴマも控えているということ。うっかりした17条はできないが腕によりをかける場面というわけです。36の使い分けもあるのです。

それにしても、部分理由で拒査して前置にするくらいならさっさと最初拒絶をもう一度やってくれれば、なんてやっぱ都合良すぎるかなあ。(ため息)


余談ですが、

こないだ橋本五段(今はもっと昇段されたでしょうか?)のテレビ対戦をみたら上達者のやることはあとからみたら馬鹿みたいに当たり前だが、いざその時には思いつかないものだなと思いました。技術もそうですが書類対応も丁々発止です・・