寺坂真貴子です

弁理士です。

公平性を要する仕事(裁判・審判・審査)

一方で、公平性を要する仕事、特に裁判所や警察(学校では一応独立司法府と習いますが公務員であるくくりで同列に論じます)や、これによく似た仕事をする税関、特許などの審査職は、「すでにそこにもめごとがあるかもしれないので、おしらべしますよ。さあ書類はちゃんとかけたかな??」という前提で仕事をするので、クレームは基本的に受けられません。いちいちかかずらっていては今日の仕事がすまないのです(うがった考えでは、クレーム相手の目的が、審査妨害で結果が遅延するだけで達成するのかもしれません)。そうでなくても黙って審査を待っている案件が無言のプレッシャーをかけてきます・・。

法律の専門家が企業にあれば、「法務チーム」などといって若手がついて派手にマンパワーを使って仕事をするのですが、チームでつくったリッパな書類に対応するのはほとんどの場合、たった一人の公務員です。大量に丁寧につくってくれた書類のどこかに罠があるかもなどとは考えていられません。専門家をつけるほうがまだ法律を気にする気があるだけましです。通読するだけで時間をとられるなどと文句も言わず、ただ、読み理解します。

最近は、個人が専門家の代理人もつけずに、ノウハウをテキトーにホームページやパンフレットで調べて手続きをとってくる場合があります。それに対応するのは天と自分の職業的良心以外に判断のよりどころのない孤独な公務員です・・・。電話ファックスメール何でも教えますが、法律をわかってくれていなければ一日仕事でも終わらないのです。クレームだったら切ればいいのですが、制度を理解していない場合、相手は丁寧と喜びますが、自分の職業的良心は、今日やるはずだった案件のことを考えて、痛みます。

そういうわけで、公務員はかなしいのです。